• 現場だより

果樹カメムシ類の発生サイクルと防除の考え方(復習編)

先月8月5日付で農水省より「令和8年度病害虫発生予報第6号」が発表されました。
さらに前回の予報と同様、水稲では斑点米カメムシ類、野菜類ではオオタバコガやシロイチモジヨトウの多発が予想され、果樹類でも果樹カメムシ類が、北関東、中国、四国地方及び南九州の一部地域での発生が多くなると予想されております。

果樹カメムシ類の発生動向(2026年7月31日付)

既に秋に向けて、本格的な防除に取り組まれている方も多いかと思いますが、今回は果樹カメムシ類の発生サイクルと防除の考え方について、改めて振り返っていきたいと思います。

果樹カメムシ類の発生サイクル

果樹カメムシ類の果樹園への飛来と加害は、大きく分けて春と夏以降の2回起こります。
ただし、飛来するカメムシ類のほとんどは、果樹だけを好んで加害するわけではありません。

たとえば代表的な果樹カメムシの「チャバネアオカメムシ」は、スギ・ヒノキの果実(球果)をエサとして山林で繁殖しますが、増えたカメムシの量に比べて球果が少ない場合、球果が枯渇したのち(多くは夏以降)やむを得ずエサを求めて果樹園に飛来、これが夏以降のカメムシ被害に繋がります。

その後、果樹を加害したカメムシの一部は広葉樹の落ち葉の下などで越冬しますが、翌春は山林で越冬したカメムシとも合わさり、エサを求めて果樹園に飛来、果樹の幼果などを加害します。これが春のカメムシ被害に繋がります。

果樹を加害した越冬世代のカメムシは、サクラなどの広葉樹を転々としながら、やがてスギ・ヒノキの球果が結果すると山林に戻り当年の世代が繁殖します。大まかですが、果樹カメムシ類は毎年このような発生サイクルを繰り返します。

 

果樹カメムシ類の発生サイクル(イメージ)

 

果樹カメムシ類の発生予測

上の発生サイクルを見ますと、果樹園へのカメムシ飛来時期は限定的ですが、時期を見越した適切な防除、特に夏以降の被害を防ぐことは大変困難です。

春に果樹園に飛来するカメムシの量は、前年の夏以降に飛来した量(越冬量)に連動し、時期も気温の上昇に伴うため、例年の状況を見た上である程度の予測が可能です。

一方、夏以降に飛来するカメムシの量と時期は、主要なエサであるスギ・ヒノキ球果の結果量と、それが枯渇する時期に大きく左右されますが、スギ・ヒノキはほとんどが山林にあるため、球果量の実測はできません。

現状は都道府県の指導機関等により、春のスギ・ヒノキ花粉飛散量に基づく球果の結果量を推定し、連動して増減するカメムシの飛来程度を予測した上で、防除要否や時期が判断されています。
(考え方:前年秋の雄花着花量が少ない➡花粉量が少ない➡球果量も少ない➡山林のエサ不足で果樹園へ飛来するカメムシ量が増える予測)

なお、球果の結果量は隔年で増減する傾向があり、球果が多い翌年は凶作(=カメムシのエサが枯渇しやすい)可能性が高く、合わせて夏以降のカメムシ飛来時期が早まるリスクが高まります。

果樹カメムシ類防除のために

ここまでは、果樹園に飛来するカメムシ類の発生や飛来予測についてご紹介しましたが、実際に防除を進めるためには、気を付けるべきポイントが複数あります。以下ではおもに3つのテーマに絞ってご紹介します。

①カメムシ飛来情報をキャッチして防除時期を見定める。
・都道府県の病害虫防除所等が発信する予察情報を確認する。
・果樹園の見回りを徹底し、初期の飛来を見逃さない。特に、スギ・ヒノキ林に近い園地は念入りに。

②薬剤防除を適切に行う。
・JAや指導機関などからの情報を基に、適切な殺虫剤を選択する。
・カメムシの飛来が多い、午後遅くから夕方にかけての薬剤散布を行う。

<参考:協友アグリお勧めの殺虫剤>
・ダントツ水溶剤

③物理的な防除を行う(多発地域)
・防虫ネットや多目的防災網を設置する。
・なし、ぶどう等の有袋栽培を行っている場合、早めの袋掛けを行う。
 ただし、果実が肥大して袋に接すると吸汁防止効果が薄い場合あり。

おわりに

今回は果樹カメムシ類の発生と防除について、復習を進めてきました。
近年は温暖化の影響もあってか、従来の発生予測が成り立ちにくいケースも増えておりますが、適切な防除を行う上で、カメムシへの理解を深めることは決してムダにはなりません。

当社も、農薬の製造・販売を通じて皆様の防除活動に貢献してまいりたいと思いますので、引き続きご愛顧のほど何卒、お願いいたします。

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